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Text#01「雨音響く夜の―」(ウィルグレ)の続きのお話です。

グレルとミカエリスと坊っちゃんのティータイム。
お時間のある方はよろしければ続きよりどうぞ~ 『悪魔と子猫と死神と』

暖かな日差しが降り注ぐ午後のテラス。セバスチャンは主の傍らでティータイムの支度をしていた。
香り高い紅茶と焼きたてのスイーツの香りが辺りを満たす。
「ハァ~イ、セバスちゃん♪」
長閑なティータイムに突如響く声。明るい日差しの下で見るには少々きつい赤と、あまり聞きたくなかった声に僅かにセバスチャンの表情が曇る。
「何のご用でしょうか、グレルさん」
「ンフッ、アナタに会いに来たのよ❤」
「そうですか、では即刻お引き取り下さい。申し訳御座いません、坊っちゃん、直ぐにお茶のおかわりを」
投げキッスと共に答えれば取りつく島もなく叩き落とされる返答。
あぁんそんな所がたまらないワ!と身をよじるグレルなど全く見えないと言わんばかりにセバスチャンは主の給仕に専念する。
「あ、そうじゃなくて、今日はセバスちゃんにお願いがあって来たのヨ」
「お願い…?私は何かしてさしあげるつもりは微塵も御座いませんが」
「アラ、この子を見てもそんな事が言えるのかしら?」
一刀両断の答えなど全く気にせずに、ジャケットの中に抱えていたものをグレルはセバスチャンの前に差し出す。
「こ、これは…!」
真っ白な子猫が愛くるしい瞳でセバスチャンを見つめている。
首元を彩る真っ赤な首輪に付けられた鈴がちりんと音を立てた。
「なんと愛くるしい…」
「でしょう?このコをセバスちゃんの所で引き取って欲しいの」
セバスチャンはグレルの存在など忘れ、うっとりと子猫を眺め、手を伸ばそうする。
「セバスチャン!何をやっている!」
突然出てきた赤い死神と猫を黙って見つめていたシエルだったがさすがに声を上げた。
「僕が猫アレルギーなのは知っているだろう、飼う事は出来ないぞ」
「ですが、坊っちゃん、このように可憐でか弱い子猫を放っておくわけにはいきません。大丈夫です、坊っちゃんの所には絶対に行かない様に致しますので」
何が大丈夫なんだとつっこみを入れたい所だったがこうなってしまったセバスチャンを相手にするのも正直めんどくさい。
「もういい、わかった。好きにしろ」
「ありがとう、助かるワ」
能天気に礼を述べる赤い死神にシエルが鋭い視線を投げかけた。
「大体、飼えもしないのにどうして猫なんて連れているんだ?」
「…だってこのコ、雨でずぶ濡れになりながら自分より大きな猫ちゃんに牙を剥いてたんですもの。放っておけなかったのヨ」
自分勝手な死神にしてはらしくないセリフにシエルとセバスチャンは僅かながら驚いた顔をする。
「でもセバスちゃんが面倒を見てくれるなら安心だワ!」
大人しくセバスチャンに抱えられている子猫の頭を嬉しそうに撫でる。
「良かったわネ、いい子にしてるのよ、アン」
グレルが呼んだ子猫の名前にシエルが険しい顔をする。
「グレル、それは…」
「このコの名前よ?可愛がってあげて頂戴ね」
心なしか寂しげに笑って手を振り、グレルが立ち去る。
「あの赤い死神の考える事は全く理解できない、セバスチャン」
お手上げだと言わんばかりに大げさに手を上げ溜息をつく主のカップにセバスチャンは暖かい紅茶を注いだ。
「全くですね」
微笑みを浮かべた執事の足元では真っ赤な首輪をつけた子猫が小さく欠伸をしていた。


********************************

出会ったのはあの日と同じ雨の夜。
重ねたのは懸命に自分を守ろうとする姿。
少しだけ感傷的になってしまった死神の気まぐれと後始末を押し付けられた悪魔のお話でした。

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